オーデュポンの祈りに続く2作目のラッシュライフ
点と点が繋がり、線になるような描写。美しいねヾ(*´∀`*)ノ
5つの視点
1:拝金主義者の画商の戸田と女性画家の志奈子
2:読者からファンの多い泥棒の黒澤
3:宗教の教祖である高橋に心を救われた河原崎と指導役の塚本
4:配偶者殺害を企む精神科女医の京子とサッカー選手の青山
5:失業者の豊田と駅で出会った老犬
この5つの構成で物語が進み、時に交差し、時間軸の操り方も面白い。
どうしてもこういうのが描けるんだろう(。´・ω・)?
文章なのに、頭の中に映像が浮かんでくるなんてすごいよね(*´艸`)
画商の戸田
拝金主義者の戸田は、金で全てを買うことができる。という信念を持っている。
若く有望な画家を探し出し、契約を交わすのに長けていた。
その絵画をすぐには売らずに寝かし、評価が高まってから売りに出す。といった手法
絵画を株のように取り扱っている。
戸田の元で働いていた佐々岡という男がいるが、そのやり方に不満を覚え自立をする。
対立を考えていたわけではなく、小さいながらも自分の画廊と立ち上げようとし、信頼できる画家と契約を交わしながら着々と準備した。
だが、戸田に潰されてしまう。佐々岡と契約した画家に対して、それ以上の契約金を支払い付き合いを断らせたのである。つまり、金で若い画商の佐々岡を潰した。
泥棒の黒澤
周りのグループと連携しないで、あくまで単独行動をする黒澤
空き巣をする際には入念にリサーチをしている。
実際に空き巣に入った際には、大体十万円から二十万円を取るようにしている。
欲張るのは失敗の元だから。という理由で。
更に空き巣に入った後に
「空き巣に入ったこと。」
「ピッキングで鍵を開けたので窓ガラスや玄関に損傷はないこと。」
「私怨等で狙ったのではないこと。」
「部屋は必要以上に荒らしていないこと。」
「どこからいくらのお金を取ったのか。」
といった書置きを残すこととしている。
なぜこういうことをするのか?
それは、空き巣に入られると面倒くさいからである。
1.警察を呼ぶ必要がある
2.被害額を調べないといけない
3.通帳・クレジットカードを止めなくていけないのか。
4.不安になる。
5.恨まれているのではないか。
6.娘がいるとすれば娘が襲われないだろうか。
面倒くさくて、不安になる。そんな不安を取り除くために、黒澤は書置きを残すのである。
そしたら数十万の出費はあったとしても麻疹か人生勉強だと諦めてくれるかもしれない。という考えを持っている。
神を解体しよう
高橋は難解事件を解決したことがあり名探偵と言われていた。それに心を奪われた信者たちが結成し、宗教が作られた。
教祖である高橋は欲がなくメディアにも多く出るタイプではなかった。
ある時、信者たちは神の高橋にカリスマ性・優しさが損なわれた。と感じるようになる。
そこで指導役の塚本は、信者で画家志望の河原崎を誘い神を解体しないか?と誘いだす。
もしも神であるのであれば解体されるわけがない。それを確かめよう。というのである
河原崎が選ばれた理由は、神を解体をしている瞬間を絵として残すためである。
そして、河原崎は承諾し、神の解体を実行した。
紆余曲折はあるが、結末を言うと神である高橋の解体は影武者であった。
難解事件を解決した高橋は、この頃事件を解決していなく信者たちから事件解決の糸口を見つけようと躍起になっていた。
そこで指導役の塚本は、河原崎を殺人実行犯に仕立て上げ、事件の解決をしてもらおうと自作自演を試みたのである。
しかし河原崎に企みがバレしまい、塚本は首を絞められ殺されてしまう。
配偶者の殺害計画
精神科女医の京子とサッカー選手の青山は付き合っていたが、お互い結婚していた。
別れを切り出すも納得してもらえず、両者の配偶者を殺害することを計画した。
京子の旦那は、なぜか実行前日に離婚を切り出してきたので殺害計画は取りやめになった。
青山の妻を殺害するために、京子と青山は車を走らせていたが、途中で人を轢いてしまう。
警察に届け出るか悩んでいたが、人生を棒に振ってしまうことを恐れ隠ぺいすることを決める。
トランクにその死体を詰めて、とりあえず車を走らせる。
そして走行中にトランクが急に開き死体が飛び出すアクシデントが起きた。
お互い不審に思うが、トランクの閉まりが悪かったと理解してまた走り出す。
次にトランクを確認する描写があるが、なんとトランクの中の死体がバラバラになっていた。
困惑する二人。困惑しながらも目的地まで走り続けるしかない。
無事に青山の家に到着した。
さあ、青山の妻を殺害しよう。と試みたところトランクが勝手に開いた。
バラバラの死体が繋がりあい急に歩き出したのである。
なぜだ?と京子は呆然とする。
事の真相は、青山の妻が最初から車のトランクに隠れていたのである。
そして、逆に精神科女医の京子を殺害しようと試みていた。
そんな計画の最中に人を轢いてしまったので、トランクの中で死体と一緒にいなければならなくなった。
そんな状況に耐えられなくなり、内側からトランクを開け死体を放り投げた。
次にバラバラになっていた理由もあるが、これは小説を読んでもらった方がいいかもしれない(*´艸`)
失業者の豊田
デザイナーである豊田。
舟木という管理職からリストラの打診を受ける。
「もしも、君が受諾してくれないと他の人をリストラせざるを得なくなる。」
と言われてしまった。
その他の人は家族がおり、息子は足に障害を持っている。ということだった。
それに負い目を感じたのか定かではないが、リストラを承諾した。
時が経ち、その他の人とたまたま街中で出会ったが、なんとその人もリストラされていた。
つまり豊田は騙されていたわけである。
再就職の面接も40社以上行ったがことごとく落ちてしまい、舟木に復讐心を抱いた。
殺害しよう。と試みるが結局は断念する。
駅で出会った老犬の柴犬との壮絶なストーリーも展開されている。
プラナリアの実験
小説の中にプラナリアの実験について描かれていたのがある。
1:プラナリアは水がないと生きられない
2:水を1か所に集め、そこに光を当てる。そうすると移動する
この二つの実験をひたすら繰り返す。
そうするとプラナリアはどうなるか?
結論:自殺する
なぜ、自殺したのか?については「飽きた」からではないか。と言われているらしい
毎日毎日同じことの繰り返しを選択するよりか、プラナリアは死を選んだ。
さて、これを現代社会の自分に当てはめるとどうなるだろう(。´・ω・)?
自分の仕事はルーチン業務だらけで毎日同じことの繰り返しかもしれない 笑
「人生ってのはそういうものだ」と自分に言い聞かせて生きている?
人生ってなんだろうね?
色々考えさせてくれる小説で面白い(∀`*ゞ)
ちなみに、プラナリアが「飽きた」わけではなく「衰弱死」したって話もあるみたい?笑
真実はよく分からない(*ノ∀`*)ヶラヶラ
まとめ
伊坂幸太郎のラッシュライフ
5つの物語についてあらすじ等を書いていったけど
ラッシュライフの神髄は、この5つの物語が絡まりあうこと(`・ω・´)
それが後半に描かれてているんだけど、本当に面白い。
最初と最後が繋がり、さらに途中でも繋がる。構成の練り方がすごい(´∀`*)
これぞ伊坂幸太郎ワールドヾ(*´∀`*)ノ
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