余暇の充実を求めて。

観光・レジャーの徒然なるままに

コーヒーが冷めないうちに を読んでみて

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2017年の本屋大賞の10位に選ばれた人気の作品

書店にも大々的に並んでいたので、横浜市の図書館で予約しといた。

2016年10月に予約。借りられたのは2017年9月 笑

忘れたころに予約のメールが届いたのでブームは過ぎ去ったけど読んでみた。

※ネタバレ等が含まれるので注意

とある喫茶店

古くから営業している喫茶店があった。

地上ではなく、地下で営業をしエアコンの設備も存在しない。

だが、不思議なことに夏の猛暑日でもこの喫茶店は涼しさを感じられる。

 

喫茶店の特徴

特段変わったことがない喫茶店であるが、ある噂が飛び交った。

「過去に戻れる喫茶店」というのだ。

その噂聞きつけた週刊誌の担当者が実態確認の取材をするが、過去に戻れたという人を発見できなかった。

果たして過去に戻れるというは本当なのだろうか?

張り込み、聞き込みをしているのに該当者が全く見つからないのはなぜなのだろうか?

 

都市伝説か?

 

そんな結論に至り、一時期は賑わっていた喫茶店も静けさを取り戻していった。

 

過去に戻れるのか

結論から言おう。過去に戻れる

ただし、やっかいなルールが存在する。

 

①過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない者には会う事はできない

②過去に戻って、どんな努力をしても、現実は変わらない

③過去に戻れる席には先客がいる。その席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ

④過去に戻っても、席を立って移動する事はできない

⑤過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ

 

果てしなく面倒くさいルールである。

過去に戻ることができても、喫茶店から身動きができず、現実も変わらない。さらに制限時間まで設けられている。

 

果たして、この条件で戻りたい人は現れるのだろうか?

 

4つのストーリー

コーヒーが冷めないうちに には4本立てとなっている。

4回とも泣ける、と評判である。

簡単な流れを見てこう。

 

1話:恋人

恋人と結婚を考えていた女性(キャリアウーマン)の失恋の話。

付き合っていた男性が夢を追いかけ、海外に赴任してしまう。

女性は、「行かないで・・・!」って言いたかったがプライドが邪魔して、「行ってくれば?」と冷たくあしらってしまう。

その後悔を取り消したい。その思いから過去に戻ることを決心した。

 

そして、過去に戻り思いを伝えた。

だが、現実は何も変わらず彼は海外へ赴任してしまう。

しかしその男性が「3年待って欲しい。絶対戻ってくるから。」と去り際に言い残す。

 

過去は変わらない。

でも?

未来はあなた次第。

 

2話:夫婦

アルツハイマーの夫と看護師の妻の話。

夫は徐々に記憶が薄れていってしまう。

最終的には妻の名前も覚えられず、他人のようにふるまう。

 

しかし、妻も看護師である。生涯を共にすると決心しており、看護師として夫の面倒をしっかり見ると覚悟を決める。

 

そんなアルツハイマーの夫が喫茶店で過去に戻ろうとしているのを聞きつける。

何やら「手紙」を妻に渡したかった。とのことだ。

そんな手紙を見たことがなかった妻は過去に戻り、渡され損ねた手紙を受け取りに行った。

 

そこには夫の切実な思いが書かれていた。

 

3話:姉妹

有名な旅館の娘として生まれた姉妹の話。

姉はいつでも笑顔で接し、妹の面倒見もすごい姉であった。

両親は将来、女将としてこの旅館を支えてくれるだろう。と期待していた。

 

しかし、肝心の姉は自由を求めていた。

親に決められたレールをの上を走るのはまっぴらごめん。と言い家出をし、上京した。

そして勘当され、妹が女将になることとなった。

 

しかし、姉をすごく慕っていた妹は毎月毎月、姉を説得に伺った。

姉も最初の方は話を聞いていたが、その内嫌気が指すようになった。

 

姉はこんなことを思うようになっている。

「妹は無理やり旅館を継がされて私のことを恨んでいるに違いない。

自分の夢を捨ててまで旅館の女将になんてなりたくなかったんだ。」

 

そして、いつものように説得に来た妹だが、姉は隠れて会うことすらしなかった。

 

その帰り道、妹は交通事故に遭い死亡した。

 

姉は、妹の真相を知りたくなり過去に戻ることを決意する。

そこで妹の夢が明らかになる。

 

その夢とは、「お姉ちゃんと一緒に旅館で働くことだった」のだ。

 

4話:親子

生まれつき心臓が弱い女性とその子ども(娘)の話。

女性は念願の子供を授かることになり、我が子を愛でること楽しみにしていた。

しかし、心臓が悪いのが災いし病院の医師から

「子どもを産めるほどの体力はありません。母体も子どももどちらも助からない可能性が高いです。」と言われる。

 

子どもを生んだとしても、その成長を見届けることはできない。

そもそも生むことすら叶わないかもしれない。

 

そんな中、喫茶店のルールを改めて考えてみる。

 

過去に戻るということは時間を操っているということ。

それならば「未来」にもいけるのではないか?

 

確かに未来に行くこともできる。

だが、未来に行ったとしても何年後に?何月何日に?が全く分からないことから

未来へ行ったとしても望んでいることは叶えられない。

過去に戻るのであれば、何日のこのシーン。と分かるが未来はそうとはいかない。

 

だが、色々なことがあって、無事未来へ到着した。

そして、娘と再会することに成功した。

「あなたを生むことしかできなくてごめんね・・・」

その女性はこんなことを常日頃から感じていたのだ。

それに対する娘の答えは一体どのようだったのか。

 

そして娘の答えに対して、母はなんと答えたのだろうか?

今まで一度も会えなかった母と娘であるが親子の絆は揺るぐことはなかった。

 

まとめ

ざっくりとした流れになってしまったが、感動すると評判でもあるし

文章が好きになれない。という人も多くいる。賛否両論である。

個人的には、読みやすく感動もするので楽しい時間を過ごさせてもらった。

通勤中の読書で2~3日程度で読み終わってしまうぐらいのボリュームである。

 

読むのが早い人は1日で終わるぐらいだと思う。

 

文章だけで色々なイメージ・情景が浮かんでくるか?と言われると全く浮かんでこない。

ここが文章がうまくない、と言われるところなのだろう。

村上春樹や伊坂幸太郎の作品が個人的には好きなのだが、改めて、両者の文章力の素晴らしさに気付かされた。

 

とはいっても自分も文章力があるわけではないので、コーヒーが冷めないうちに川口 俊和を酷評できるわけない。

 

また、次の作品 この嘘がばれないうちに が2017年3月に発売している。

これもまた図書館で予約をしておこう。

また1年後になるのだろうか・・・・