7編からなる短編をまとめた連作集
前回は大藪編を書いたけど、今回はラッシュライフに登場していた黒澤編の僕の舟(*´艸`)
過去の作品の登場人物が出るのはスゴく面白く感じるヾ(*´∀`*)ノ
僕の舟
若林 絵美(70歳手前)は3ヶ月ほど前から癌が悪化した
夫の看病にかかりっきりであり、ふと自分の人生を振り返っていた。
そういえば、あの頃に出会った思い出の男は今何をしているんだろう?
自分のもう一つの人生ってどんな風になっていたんだろう?
そんなことを思い、黒澤に調査依頼をお願いした。
60年前の初恋の人
たった1日だけの初恋
都内の遊園地で迷子になり、おろおろしていると同じように迷子の少年と出会う。
二人は時間をつぶすために一緒に話をしたり、壁に相合傘を描く等をした。
一緒にいたのは1時間程度だったが、初恋の人と思うようになった。
50年前の彼
銀座である男が若者二人に絡まれていたところを見かける。
絵美は大声を出し、若者たちは逃げた。
その男性は事なきを得てそこから会話をしていくこととなる。
その男性は東大の医学生と名乗り、小判を探しているという。そのお金を元に日本を改革するのだと。
なにやら、近いうちに宝の地図が手に入るらしい。
若林 絵美は自分はスペイン翻訳家だと自己紹介する(本当は会社員のお茶汲みなどの一般職)
翌日、翌々日も出会い2時間程度の会話を交わしていたが、別れを切り出された。
男性がこれからやろうとしていることは政府からも目をつけられることだから
君に危害が及ぶかもしれない。だから会うのは今日で終わりにしよう。
嘘の塗り重ね
答えからいうと、この男性は見栄を張り医学生だと嘘ついていた。小判を探して日本の政治を改革するというのも嘘。
この先も嘘を突き通せすのは難しいから別れを切り出した。
若林 絵美も経歴に嘘をついていたわけだから、お互い様である。
思い出の人を調査
そんな男性は、今どこにいるのだろう、何をしているのだろう。
黒澤は、その人の写真を撮ってくればよかったな。と言い、
若林 絵美と旦那がいる病室で、カシャ。っと音をたててそこに映った人を見せた。
これがお前の探していた男だ。
若林 絵美は呆然とする。
50年前に出会った見知らぬ東大の医学生と名乗った男性は旦那だったのだ。
さらに続きがある。
60年前の遊園地で、迷子の時に出会った少年と相合傘の落書きをした件。
その落書きが今も残っており、黒澤は写真に収めてきた。
相合傘の片方には「えみ」と書かれていた。
そのもう片方の名前を見た絵美は、手が震えていた。
「ウソでしょ…?!」
イッツ・ア・スモールワールド
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